こんにちは。スイスのチューリッヒにストップオーバーで6時間滞在しました。

海外に行くと現地のお茶の事情調査に行きますが、今回は時間があまりなく、スーパーマーケットCOOPのお茶コーナーだけを見てきました。

スーパーマーケットCOOPに並ぶ ティーバッグメーカー

朝早い時間にチューリッヒ中央駅に着きました。駅近くの、COOP(コープ)というお店に行きました。スイスでは有名な小売店です。出勤の時間帯だったので、朝食のパンなどを買う人達が多くいました。スーパーよりコンビニに近いお店です。

お茶のコーナーは2つの棚に分かれていました。左は紅茶フレーバーティ―がメインの棚で、右側はハーブティーメディカルハーブ的なもの(体の調子を整えるためもの)のでした。

店舗の規模は大きくないのに、かなりの種類と量が並んでいました。ただ、海外の大きな町のスーパーに行くと大体この程度は商品は並んでいるような気もします。

まず一つ目の棚、どのようなメーカーがあるかクローズアップします。

上の写真の説明です。

1段目 COOPブランド、Ricola
2段目 COOPブランド、Kräuter-Pfarrer Künzle (ハーブ牧師Künzle)
3段目 YOGI TEA
4段目 TWININGSRicola

メーカーの本社所在地:
COOP、Ricola、ハーブ牧師Künzle (スイス) / YOGI TEA(アメリカ)/ TWININGS(イギリス)

5段目 TWININGRicola
6段目 Teekanne
7段目 Lipton、COOPブランド
8段目 Lipton、COOPブランド

本社国名: Teekanne (ドイツ) Lipton (イギリス )

メディカルハーブの棚を見てみます。

1段目 Floramed
2段目 Floramed、Coop(Naturaplan)
3段目より下 Coop(Naturaplan)

Floramedは、スイスのMORGAというメーカーが製造しているようです。 こちら

メディカルハーブティーの効能とスイス医薬品局の認証

MORGA社のFloramedシリーズを個別に見てみます。

左の水色の箱には「Magentee (胃の茶)」、右側の紫色の箱には 「Blasentee (膀胱のお茶)」と書かれています。一般的にはメディカル的な理由、体調を整える、健康の目的で選択するお茶です。

個々のお茶の原料を見ると、単独でなく複数のハーブの混合です。様々なハーブを合わせて、目的の薬効にしている+フレーバーの調整をしていると思われます。

一方、次章で紹介する COOPブランド のハーブティーは、例えば、セージなど単独のハーブのお茶になります。

スイスの知人がおくってくれました

Floramed ハーブティーの箱の裏を見るとスイス医薬品局の認証マークがついていました。薬効は、やはり認証制度のもと認可を受けて記載をしているように見えます。

スイス医薬品局(Swissmedic)のハーバルメディスンのページを見てみました。

Complementary and herbal medicines are widely used in Switzerland and enjoy a high level of acceptance by the population. For these product groups, Swissmedic ensures that the main authorisation requirements are respected.

Complementary medicine(補完薬)とHerbal medicine(ハーバルメディスン)はスイスで広く使用されており、国民に高いレベルで受け入れられています。これらの製品群について、Swissmedicは主な認可要件が遵守されていることを保証しています。

https://www.swissmedic.ch/swissmedic

Morgaのページも スイス医薬品局の承認について書かれていました。

Health teas from MORGA
■ Force of nature!
A steaming hot cup of tea on a snowy winter evening has a pleasantly relaxing effect on body and mind. However, certain roots, herbs and leaves can far more than just relax.

■ Teas with swissmedic-recognition
Swissmedic recognized teas from MORGA be used as a treatment for mild pain or discomfort. They can alleviate symptoms and support the body in self-healing. Try the herbal helpers from nature!

MORGAの健康茶
■ 自然の力
雪の降る冬の夜に飲む熱いお茶は、心身を心地よくリラックスさせてくれます。
しかし、ある種の根やハーブ、葉には、リラックス効果だけでなく、それ以上の効果が期待できます。

■ スイスメディック(スイス医薬品局)に認定されたお茶
スイス医薬品局は、MORGAのお茶を軽い痛みや不快感の治療としての使用を認めています。症状を緩和し、体の自己治癒力を高めるサポートをしてくれます。自然が育んだハーブの力をお試しください。

https://www.morga.ch/en/health-teas-from-morga

安心できる情報です。

ちなみに日本も「膀胱炎」または「膀胱炎に効く」など薬効を記載して販売する場合は、法律上「医薬品」として登録しなければいけません。

店舗では、お茶のティーバッグとハーブティー、メディカルハーブティーが同列に並んでいるので、消費者は自然に生活の中にメディカルハーブティー を取り入れているのかもしれません。

スイス人の生活の中のハーブティー(インタビュー)

前章でハーバルメディスンはスイスで広く国民に受け入れられているとの説明を見ましたが、生の声を聞く為に、スイスの知人に連絡してみました。スイスでは頭痛の場合にハーブティーを飲んだりするのか尋ねたところ、下記の回答をくれました。

そして、なんと彼女は Floramed のお茶を4種類送ってくれました。(前章の4箱の写真も)

(スイスの知人からの回答原文)

We do drink herbal tea when we feel sick : for stomach ache, liver and gallbladder ache, for coughing, for colds…
In fact, we don’t have tea for headaches. Do you have tea for headaches in Japan?

In Switzerland, we have a long tradition of medicinal herbal teas. In the Swiss mountains, we have a lot of herbs and people working in the agricultural field harvest those herbs to make teas. When we hike in the mountains, we can also harvest those herbs and dry them at home, or we can also grow these herbs in our garden (if we have a garden). I know very well the teas you saw at Coop when you were in Switzerland!

(日本語訳)私たちは、胃や肝臓、胆嚢の痛み、咳、風邪など、体調が悪いときにハーブティーを飲みます。しかし、頭痛に効くお茶はありません。日本には頭痛に効くお茶はあるのでしょうか?

スイスには古くから薬用ハーブティーの伝統があります。スイスの山にはたくさんのハーブがあり、農作業をしている人たちはそのハーブを収穫してお茶を作ります。山でハイキングをするときに、そのハーブを収穫して家で乾燥させたり、(庭があれば)庭でハーブを育てたりすることもできます。

あなたがスイスに行ったとき、コープで見たお茶を私はよく知っていますよ!

スイスより

それに、とても詳しいお茶の説明と、彼女がどのように生活に取り入れているかも親切に書いてくれました。

(スイス知人からの回答原文)

The names are in German, with a French and Italian translation below. 

Orangenblütentee in German = Orange blossom herbal tea
This is a calming tea, perfect before sleep. Orange blossom helps to calm down and encourages sleep. You can drink it in the evening after a meal. I sometimes drink it in the office because it makes me feel more relaxed 😊

Beruhigungstee in German = Calming herbal tea
Chamomile flowers (40%), lavender flowers (20%), lemon balm leaves (15%), peppermint leaves (15%), bitter orange peel (10%). Chamomile and lavender are also calming herbs. This is also a tea for the evening, after a meal. Personally, I sometimes drink it in the office too.

Erkältungstee in German = Cold and Flu herbal tea
Elder flowers (30%), lime blossoms (30%), rose hips (20%), thyme herb (20%). Thyme is very good against colds, but it has a very strong herbal taste. If you have the flu, this is a good tea to drink and you can add honey to it so it is sweeter.

Leber-Galle-Tee in German = Liver and gallbladder herbal tea
Sweet fennel (25%), yarrow herb (25%), peppermint leaves (25%), chamomile flowers (10%), dandelion (10%), liquorice root (5%). Fennel, chamomile and liquorice are also good when you eat too much. You can drink it between meals.

(日本語訳)名称はドイツ語でかかれ、フランス語とイタリア語の訳が下にあります。 

Orangenblütentee ドイツ語=オレンジブロッサムハーブティー
眠る前に最適な、心を落ち着かせるお茶です。オレンジの花は気持ちを落ち着かせ、眠りを促します。夜、食後に飲むとよいでしょう。気分が落ち着くので、会社で飲むこともあります😊

Beruhigungstee ドイツ語=心を落ち着かせるハーブティー
カモミールの花(40%)、ラベンダーの花(20%)、レモンバームの葉(15%)、ペパーミントの葉(15%)、ビターオレンジピール(10%)。カモミールやラベンダーは、心を落ち着かせるハーブでもあります。こちらも夜、食後に飲むお茶です。個人的には、オフィスでも飲むことがあります。

Erkältungstee ドイツ語=風邪とインフルエンザのハーブティー
エルダーフラワー(30%)、ライムの花(30%)、ローズヒップ(20%)、タイムのハーブ(20%)。タイムは風邪にとても良いのですが、ハーブの味がとても強いです。インフルエンザにかかったら、このお茶を飲むとよいでしょう。ハチミツを入れると甘くなります。

Leber-Galle-Tee ドイツ語=肝臓と胆嚢のハーブティー
スイートフェンネル(25%)、ヤロウハーブ(25%)、ペパーミントリーフ(25%)、カモミールの花(10%)、タンポポ(10%)、リコリスの根(5%)。フェンネル、カモミール、甘草は食べ過ぎたときにもおすすめです。食間に飲むとよいでしょう。

一連の情報を得て、スイスではとてもハーブに親しみがあり、生活に密着しているという感じを受けました。認証システムなどもしっかりしていて、スイスのハーブティーは安心でき薬効も感じれるだろうという印象です。

ところで、頂いたハーブティーを飲んでみての感想です。Erkältungstee(風邪とインフルエンザ の茶)は美味しかったです。 薬効の期待からでなく、普通においしいから飲みたくなる味でした。 Magentee (胃の茶) は、袋を開けた途端に中国料理の香辛料をイメージしました。お味は漢方薬風、苦みがあり、胃腸にききそうなスーッとする風味、ひと口頂くたびに、頭に中国に住んでいた頃のスーパーマーケットに入った瞬間が浮かびました(漂っていた香辛料の香り)。胃の軽い不調時に飲むのに良いと思いました。

MORGAのウェブサイトには「メディカルティー」として風邪、咳の他様々なティーバッグ商品があります。

MORGA メディカルティー
https://www.morgashop.ch/en/277-medicinal-teas-20pc-w-envel

製造はドイツで行われたとの表記の物もありました。「Origin: Produced in Germany」との表記です。

スイスの有機認定マーク BIO Suisse

COOPブランドのハーブティーバックを見てみます。緑に白抜きの文字「 Bio」 というのは有機(オーガニック)との意味です。

Bioの文字の横についているマークは、スイスの有機農業の認定機関ビオスイス(Bio Suisse)の制度に従い、基準を満たしたものに対して付与されます。

下ハーブ Sauge (セージ)のティーバッグは、BIO SuisseマークとBIOマークの二種類の物がありました。

認定機関のページをみると、マークの種類により付与の基準が異なるようです。

Bio Suisse のページ

BIO SUISEE:

Fully organic, produced in Switzerland. More than 90% of the raw materials come from Switzerland.
スイスで生産された完全オーガニック。 原材料の90%以上はスイスで生産される。

(解釈:オーガニック。スイス産原料が90%以上

BIO:

Fully organic, with more than 10% of raw materials imported but subject to equivalent organic standards
完全にオーガニックで、10%以上の原材料のは輸入だが、同等のオーガニック基準が適用される。
(解釈:オーガニック。スイス産以外の原料もある程度含まれる

よく見ると、BIO SUISEEのマークがついている箱にはスイスの国旗がついています。「オーガニックであり、原料はスイス産」ということがはっきり分かるようになっているようです。

日本へのお土産はBIO SUISSEマークのものだと、よりスイスを感じれるものかもしれません。

このBIOマークの方は、原料がスイス以外の物も使われているとのことですが、日本のJETROの記事に、「日本の有機JAS マークが付された有機農産物もBIO製品の原料として認められる可能性がある」と書かれていました。以下レポートの抜粋です。

スイス ー 有機食品の消費は世界一
2013年 JETROレポート
(抜粋)
「BIO-BUD」はスイス国外産の原料を 10%以上含む製品に付けられる。その場合、原料が調達できないものに限り近隣欧州から調達、欧州内で調達できないものに限っては欧州以外の国・地域から調達するという条件付きだ。12 年 7 月には、有機食品を生産できる国のリストに日本も追加された。これにより有機JAS マークが付された有機農産物は BIO-BUD の原料として使われる可能性も出てきた。

レポートによると、有機食品(オーガニック食品)の一人当たりの消費量が世界一の国はスイスということです(2013年時点)。

確かにCOOPスーパーで撮影したティーバック商品全体をみると有機商品の割合は高いと思います。

しかし、レポートの続きをみると面白いことが分かりました。ティーバッグの有機商品の割合が高かったのは、COOPだったからかもしれないということが分かりました。

2013年 JETROレポート
(抜粋)

スイスで有機食品がよく売れているのはなぜか。国民が食品の品質に対する信頼性・透明性を重視しているからだが、それだけではない。小売り最大手のコープ(Coop)が有機食品を積極的に取り扱っていることも大きいようだ。国内の有機食品のうち 47.5%がコープで販売されている。

確かに認定機関ビオスイス(Bio Suisse)のマークがついているものはCoop(Naturaplan) の物だけに見えます。

以上、今回分かったことをまとめました。

スイスはオーガニック食品とハーブが浸透していることを知ることができました。

By pandesu