【中国四川省】 金沙遺跡の甲骨占いの方法(卜甲 卜辞)殷墟 周原との違い

中国四川省成都にある金沙遺跡博物館を訪れました。甲骨占いの展示が興味深く紹介します。

占いの用語:卜甲と卜辞とは

まず、占い用語の日本語と中国語の紹介です。

用語読みピンイン(拼音)意味
占卜せんぼくzhān bǔ
ジャンブー
占うこと。未来や運勢、吉凶を予測する行為の総称
卜甲ぼっこうbǔ jiǎ
ブージァ
占いに使う亀の甲羅(腹甲)。甲骨占いの道具
卜辞 ぼくじbǔ cí
ブーツー
甲骨に刻まれた占いの言葉・文。
占問、結果、吉凶などを含む
卜兆ぼくちょうbǔ zhào
ブージャオ
加熱してできた亀裂・割れ目
(吉凶判断の手がかり)

占いの方法

超ざっくりな占いの方法です。(亀の場合)

①甲羅を洗浄 ②穴をあける ③甲羅を炙る ④入ったヒビ(卜兆)で吉凶を読む ⑤結果を文字で刻む(卜辞)

金沙遺跡の甲には文字が刻まれていない

金沙遺跡で発見された甲骨には刻まれた占いの言葉・文が見られないそうです。確かに展示の甲骨には文字がありませんでした。

中国でよく見られる占卜の甲羅は、亀の腹部文字が刻まれています。(殷墟 中原?)

説明文です。

原文:占卜是古代祭典中的重要仪式。一般选择龟腹甲,用钻(凿)方式在龟甲的一面钻孔,然后烧灼,根据另一面的裂纹(兆)卜问吉凶。中原王朝多在卜甲上刻字记录,今称“甲骨文”。金沙发现的卜甲大多为龟背甲,无文字。

日本語訳:占いは古代祭典の中で重要な儀式でした。一般的には亀の腹甲を選び、甲の一面(片側)に穴を開け、焼きます。そして反対側のひび割れ(兆し)によって吉凶を占います。中原のほとんどの王朝は甲に文字を刻んで記録しており、現在では「甲骨文」と呼ばれています。金沙で発見の卜甲の大部分は亀背甲で、文字は刻まれていません

亀の背中側の展示がありました。

背甲
中国で発見された最大規模の卜甲のようです

占いの方法(展示資料)

①甲羅を洗浄 ②穴をあける ③甲羅を炙る についての画像資料です。

甲羅の準備

形成

甲を整える方法の説明画像です。

殷墟卜甲、周原卜甲

日本語訳:殷墟や周原で使用された卜甲は、主に亀の腹側が使われるが、背中側も使用される。占いを行う前に、甲羅に比較的細かな処理が施される。表面は削って平らにされ、縁は滑らかに磨かれる。

殷墟の卜甲は、通常、長い紡錘形(梭形)や楕円形の溝状(槽)をしている。側面には楕円形または円形の穴が開けられ、それらは亀の腹側甲羅の中央線の両側に縦方向で対称的に並べられている。

周原の卜甲は、一般に方形の鑿跡があり、一部には円形のものも見られる。穴の配置は整然としており、主に横向きで並び、三つの穴で一組となっている。

殷墟卜甲、周原卜甲

穴を開ける(钻凿)

(zuān):「穴を開ける」の意味
(záo):「彫る」「削る」「穿孔する」の意味

施灼(加熱)

卜辞(ぼくじ)

殷墟甲骨文

日本語訳(略):卜辞(ぼくじ)とは、占い後、占った内容を甲骨に刻んだ文章で、この文字を「甲骨文」と呼びます。完全な卜辞には、叙辞(背景の説明)、命辞(命じた内容)、占辞(占った内容)、験辞(結果)が含まれます。卜辞は一定の法則に従って分布しています。(中略) 殷墟の卜辞は通常完全な構成で、数十字の文字で構成され、字も大きいです。一方、周原の卜辞は叙辞や命辞だけのことが多く、字数も少なく三〜五字程度で、字も小さいです。

殷墟甲骨文
殷墟卜甲、周原卜甲
殷墟卜甲、周原卜甲

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甲骨占いについては、ほとんど知らなかったので大変勉強になりました。まずは入り口を覗けたようで良い体験になりました。

以上、四川省の金沙遺跡博物館の紹介でした。

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