【中国茶】白茶の毫香(ハオシャン)とは ~想像がつかない香りと言われます~

白茶の香り、毫香(ハオシャン)とは

近年、白茶の香りを表現する言葉に毫香(ハオシャン)が良く使われます。

この毫香(ハオシャン)言われる香りは、白毫銀針や白牡丹を味わったことがない人には想像がつかない香りと言われます。一体どんな香りなのでしょうか。

私は10年以上前から白茶は飲んでいますが、毫香(ハオシャン)という言葉は最近知りました。当時の茶芸師講座や評茶員講座では、毫香(ハオシャン)について特に習うことはありませんでした。

中国の毫香(ハオシャン)の説明

白茶のどの香りが毫香(ハオシャン)なのだろうと調べました。多くの人がこのように言われます。

白毫銀針が入った袋を開けた時に香る”あの香り”が毫香(ハオシャン)です。

”あの香り”は分かります。簡単に言うと、ふんわりとあまくやらかい香りです。これまでは「白茶特有のあの香り」と呼んでいました。白茶以外で似た香りを私は知りません。

専門的にはどう書かれているのか、評茶員の教材(2011年発行)を見てみました。

白茶の香気用語:毫香(ハオシャン)
白毫显露的嫩芽所具有的香气
(訳:白毫がある柔らかい芽が持つ香り※1)

※1 毫(ごう)という文字の意味は「きわめて細い毛」です。白毫銀針や白牡丹の中の芽は白く細い毛で覆われています。これが白毫です。日本語では毛茸(もうじ)と呼び、慣習的に産毛(うぶげ)という表現を使う方もいます。

これでも毫香(ハオシャン)がどんな香りかは想像は出来ないと思います。やはり、直接茶葉に触れてみないと分からないという結論になります。もう少し調べてみました。

毫香(ハオシャン)は新鮮な茶の毫の香り、また製造工程から生まれる香りとあります。つまり、正しい作り方でないとこの毫香(ハオシャン)は出てこないということです。

どの茶にも共通の事ですが、作り方を失敗すると、茶葉から良い香りはしないし、白茶で言えば、毫香(ハオシャン)も出てこないというわけです。

新鮮で若い(柔らかな)原料を使い、そして上手に作られた茶葉だけが持つものと理解できます。

毫香(ハオシャン)の濃淡

白茶を淹れていただくと、花のような香り、毫香(ハオシャン)、甘みが、口の中、喉や鼻を抜けて全身に広がります。

白茶の毫香(ハオシャン)や花香は、相対的に春の早い時期に摘まれたものが濃く、干茶(淹れる前の乾燥した茶葉)でも淹れた茶湯(チャユ)でも早い時期の香りが濃いです。(同じ茶園や製法では)

毫香(ハオシャン)は香り、毫味(ハオウェイ)は滋味となりますが、中国では香りを中心に捉えることが多いからか、毫香(ハオシャン)が良く使われます。

以下は4つの白茶の香りの濃さを比較したものです(緑文字)。このスライドは以前行った白茶の講座で使用したものです。

毫香(ハオシャン)は白茶だけの表現?

毫香(ハオシャン)といえば、白茶の香りのように使われていますが、毫がある新鮮な芽を原料とする緑茶や紅茶には使われないのか、評茶員のテキストでの評語を調べてみました。

各茶共通の香気用語:嫩香
毫香显露而細腻 (訳:毫香があり繊細)

各茶種の表現に使える「嫩香(ネンシャン)」の意味の説明として「繊細な毫香(ハオシャン)がある」となっていました。

「嫩 nènネン」とは「若い、柔らかい」の意味です。(出てきたばかりの芽、葉の柔らかさは、この嫩nènを使い表現します。みずみずしさが伴っている感じです。)

つまり、茶種(緑茶、白茶、紅茶…)を問わず、柔らかい芽には、毫香(ハオシャン)があるものがあるということになります。

慣習的には、白茶によく使われる表現のようですが、他の茶種、緑茶などにも使えることだと分かりました。緑茶となると、白茶で感じるような「ふんわりとやらかいく甘い香り」ではなく「ふんわりとやらかく〇〇な香り」という表現になると思います。

〇〇は茶種により異なるのではないかと思います。

以前、四川の蒙頂山の蒙頂甘露の会社皇茗园を訪問し、その時頂いた茶葉は最高に美味しく、特別な緑茶のふんわりやわらかな香りがしました。

ふんわりやわらか以外にも特別な香がしたのですが、その時は表現ができませんでした。

その香りは嫩香(ネンシャン)や毫香(ハオシャン)と言えるのではないかと思います。

日本のお茶の業界のお客様やお茶通の方が来られた時に、グラスにこちらの茶葉を入れてお出ししましたが、みなさんおいしさと香りに感動されました。

四川省蒙頂山皇茗园茶業集団有限公司

ホームページを調べてみると、やはり最高級グレードの物で256gで11500円とありました。(頂いたものの値段を調べて失礼ですが、お勉強の為にさせて頂きました。)

清明節の頃に摘まれた芽を原料に作っているとの説明です。その頃摘採される茶芽は(緑茶としては早い時期)、現地でも貴重なものとして扱われます。このような原料で出来たものが毫香(ハオシャン)があるものだと思います。

(当時撮影した茶葉の写真が探せたらUPします)

風が運んできた毫香(ハオシャン)

全くの余談ですが、これまでに二度、外を散歩している時に毫香(ハオシャン)らしき香りを感じることがありました。

ほんの一瞬、かすかなものでしたが、その香りがした時、「あ、白茶の香り」と頭の中で結びつきました。

二度とも東京の隅田川を散歩中でした。

周囲には茶畑はないと思うので、植物の毫が風に乗って飛んできたと考えれば、そのようなこともあっておかしくないのかなと考えました。

(と言うことは毫香(ハオシャン)は茶に限らないという話になってきますが…謎は解けていません。)

以上、毫香(ハオシャン)のお話でした

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