2024年 中国茶業界の現状  国際市場拡大へ向けて

2024年末 入手できた中国のニュースや茶業関係者(茶葉生産販売)からの声をまとめてみました。一部の状況であり、全体の状況ではない可能性もあります。また、個人の見解ですので、その点をご理解のうえ、お読みいただけますと幸いです。

2024中国茶業界 概要

大きな流れとしては、現在茶業界では停滞の雰囲気が漂っているようです。業界では以前に増して国際市場に向けての販路拡大の活動がみられます。

中国茶業界の現状と課題 展望

  • 現在の中国茶業界では、消費が低迷、生産過剰との声が聞かれます。茶業界は今低迷で、転換期、転換しなければならないという雰囲気があります。

中国茶業界 輸出の拡大の計画

  • 茶業界は世界に向けて中国茶の輸出を拡大させたいと考えています。(現在の輸出先はアフリカ諸国がメイン)
  • メジャーでない茶の産地も海外の開拓活動に力を入れています。
  • 欧米市場に対して中高価格帯のプレミアム茶葉の販売拡大を目指しています。これには、現地の消費者の健康志向(ウェルネス)や品質志向の高まりが背景にあります。
  • 輸出では低価格の茶が中心となっている産地は、中高価格帯の茶葉を売りたいと考えています。低価格の茶は、輸出量が増えても利益は増えない状況もあります。

中国茶輸出 主要国はアフリカ / 全体で黒茶が増加

新京報の記事の抜粋です(2024年11月22日)
https://baijiahao.baidu.com/s?id=1816420245320526459

2024年1月から10月までの中国の茶葉輸出量は約30万トン(前年同期比1.1%増加)
金額は約12億ドル、平均価格は1キロあたり3.8ドル。前年同期比でそれぞれ20%と約21%減少。

茶葉の種類別では、緑茶(約26万トン)、ジャスミン茶(約5800トン)、黒茶(約430トン)。
黒茶の増加率は約80%と最大。一方、その他の茶類の輸出量、金額、平均価格はいずれも減少。特に他の花茶の減少幅が最大。白茶の輸出平均価格(13ドル/キロ)は50%の減少。

茶葉の輸出先市場の上位10カ国は、モロッコ、ガーナ、ウズベキスタン、モーリタニア、ロシア、セネガル、アルジェリア、アメリカ、ニジェール、日本で、特にニジェールへの輸出量(9041トン)、金額(2076万ドル)が最も大きく増加。逆に、アルジェリアへの輸出量(1万トン)、金額(3712万ドル)は最も減少。

中国茶の世界普及会議 キックオフ

  • 2024年8月 中国外文局文化伝播中心が主催する「茶和天下」中国茶グローバルプロモーションの開始式が行われました。この活動では以下を目指しています。

    🟢中国文化の象徴としての茶の地位向上
    🟢中国茶の国内外でのブランドイメージ向上
    🟢茶産業の持続可能な発展支援

    式では「中華茶文化国際発信公益基金」の設立が提案されました。また、「中国茶文化のアイデンティティ構築」と「中国茶の世界への普及」をテーマにした交流も行われました。

    この会議は様々な業界が関与しています。中国外国語出版局が主導し、中国外国語出版局文化コミュニケーションセンターが主催、中国国際茶文化研究会、中国茶協会、中国食品、郷土製品、畜産製品輸出入商会、中国文化推進協会、国家農業技術普及サービスセンター(中国茶業連盟)、中国茶人協会が後援、そして湖南農業大学、安徽農業大学、湖南師範大学、浙江大学茶業研究所が共催し約300人が参加しました。業界を超えた団結がみられます。

原文記事 茶和天下”中国茶全球传播启动仪式在京举办 面白い記事ですので、ご興味あれば翻訳機能でお読みください。

世界に誇る中国茶ブランドの構築

  • 中国茶業界では、世界でのブランド力を上げたいと考えています。かねてより世界で強いブランド力を持つ茶企業を作ることをめざしています。茶生産地である中国にリプトン(立顿)のような大きなブランドがないことを懸念しています。

農村茶産業のPRと地域振興

  • 農村の茶産業をもっとPRし農村部の収入を増やしていきたいと考えています。

地方茶業博覧会の現状と新たなPR戦略

  • 各地方茶業博覧会は販路拡大の効果が少なくなり、広州などアジア諸国に近く、そのPR効果が高い都市の博覧会の重点が上がっています。茶葉のプロモーションの場が限られている現状において、新しいプロモーションの手法の導入が求められています。

日本茶業界の現状と課題(参考)

2024年 日本 農林水産省発行「茶業及びお茶の文化に係る現状と課題
日本での日本茶の輸出の取り組みについての記載があります。日中の業界動向の比較も興味深いです。

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以上お読みくださりありがとうございました。

次回は 近年の中国が力を入れる「茶と観光の融合」について紹介します。

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