こんにちは。中国の茶の利用の歴史は、「薬」としてから始まります(神農伝説)。そして「華陽国志」(华阳国志 Huayang guo zhi)に「献上品」として利用されていることが記録されています。中国茶の歴史にでてくる「華陽国志」、気になっていましたが、今回少し近づくことができました。
華陽国志館 概要
華陽国志館は、四川省成都市崇州市の街子古鎮にある、東晋時代の史学者、常璩とその著書『華陽国志』を記念する博物館です。
「華陽国志」とは、4世紀に成立した、四川や中国西南部(当時の巴国や蜀国など)の地誌で、その地域の古代からの歴史、地理、人物などが記録されています。最も古い地誌の一つであり、その広範囲にわたる記録でも有名です。
今回、街子古鎮(Jiezi Guzhen)に行くことになり、「華陽国志館」の存在を知ったので訪れました。お茶に関する記録がこの目で見つけられるのではないかと、わくわくしながら向かいましたが……
街子古镇の位置
華陽国志館の展示物
多くの人でにぎわっている川沿いにあります。街子にはレジャーで来ている人が多く、館内には他の参観者はいませんでした。
まず門を入ると、華陽国志の著者 常璩の銅像がありました。
常璩の人物紹介です。ほとんど読めません。ピンボケしていました。(読みたい方ごめんなさい)
華陽国志の概説です。常璩が街子古鎮がある崇州市の出身であること、四世紀中葉以前の歴史を書いていること、全十二巻などと書いてあります。
竹簡を手にしています。オリジナルは竹簡ということなのでしょうか。
レプリカでしょうが、このような展示もありました。「華陽国志 巻第二 漢中志」のタイトルがついています。タテ、ナナメの波磔が印象的な文字です。
華陽国志 お茶についての記述
いよいよ、この目でその記載が見られるかもしれない… 目を皿のようにして眺めました。
本来は、写真の右下に見える第一巻 巴志に、下記のように巴の産物である茶が貢ぎ物とされている旨が書かれているはずです。
桑、蚕、麻、纻,鱼、盐、铜、铁、丹、漆、茶、蜜、灵龟、巨犀、山鸡、白雉,黄润、鲜粉,皆纳贡之。
(納貢の意味は”献上”。ここでは”巴が周に茶などを献上”と読まれます。)
しかし…残念ながら、写真に写った頁には見えませんでした。
中国の茶史では、華陽国志のこの部分が、この時代の巴蜀一帯に茶があったことの根拠とされ、また、最も古い 「茶が献上品とされた記録」として茶史に出てきます。このことは、中国の茶芸師資格を勉強するときに学びます。
献上品であることは重要な物であり、当時の茶の価値や位置付けが想像できます。また、献上品目を見ると鉄銅漆などもあり、巴が古代より資源豊かな土地だったことが分かりました。
他に、巴志には 、周の武王が殷の紂王を討伐 巴と蜀(の軍隊?)を得ると書かれているようです。(紀元前1046年頃)この一文も見られませんでした。
周武王伐纣,实得巴、蜀之师
華陽国志の原文, 他中国歴史書の原文
華陽国志の原文が中国のサイト”国学导航”にあります。ご参考ください。
- 国学导航のホームページ
- 華陽国志の原文
- その他中国歴史書の原文 (史記、漢書、三國志などなど)
上記の3つは、2021年6月にリンクが切れていることに気が付きました。復活する可能性もあるのでこのままにしておきます。原文は別のウェブサイトがあったので下記をご参考ください。
歴代の華陽国志についての重要論述摘録
下記は歴史上の様々な文献で華陽国志について述べられている部分が時代順にまとめてありました。
唐、北宋、南宋、明代、そして現代でも。後世の各時代でも多くの人の読まれ、貢献している重要な文献なのだと感じました。
この木製の板と鮮やかな緑の美しい文字が醸し出す雰囲気に見とれました。この空間が一番好きでした。
華陽国志 1巻-12巻の要点掲示 (地図、人物画など)
古代の地図の掲示がありました。全土を九つに分けて九州。本文の参考図として掲示されているのでしょう。右が北、上が西になっています。
以下は1-12巻の要所の展示です。
帰国後このピンボケの大失態見て愕然としました。家でゆっくり読もうと思っていたら…読めません。地図やイメージ図だけでも頼りにしようと思います。実は新しいカメラを買って使い慣れていませんでした。スマホで撮った方が良かったと後悔。
第一巻 巴志
第二巻 漢中志
第三巻 蜀志
第四巻 南中志
第五巻 公孙述刘二牧志
第六巻 刘先主志
第七巻 刘后主志
第八巻 大同志
第九巻 李特雄期寿势志
第十巻 先贤士女总赞(上中下)
第十一巻 后贤志、十二巻 序志常璩道将はもう砂の嵐レベルのボケ具合でした…。
街子古鎮の行き方
私は四川悠闲乐途という旅行社の専任タクシー(チャーター/ドライバー付きレンタカー/中国語では包車)を依頼して行きました。
チャーターは時間と距離計算がですが、この時は8時間で450元(7000-8000円)でした。一台あたりの料金ですので、人数が増えれば割安になります。行き先も自由ですので、前後に別の観光地を入れる事ができます。
街子古镇 の場所。成都から見ると、街子古鎮は、観光地でも有名な秦の水利施設がある 都江堰(Dou jian yan)の方向になります。
おすすめ観光プラン
- 午前は都江堰
- 午後は街子古鎮(華陽国志館)
ゆっくり観光したい方は2つは急ぎ足になるかもしれません。都江堰は多くても3時間位でしょうか。
街子古鎮は華陽国志館だけなら2時間ほど(入り口までの往復入れて)。食事、お茶、街歩きもできるので一日中ゆっくり過ごしたい方もいると思います。成都から近いのでレジャーエリアになっています。商業化されたエリアと奥に進むとゆっくりできそうな自然のエリア、お茶館や食堂もたくさんありました。
街子古鎮の地図
正直どのルートを通ってたどり着いたのか分かりません。手がかりとなる地図を載せておきます。
以上、四川の華陽国志館訪問のレポートでした。